BC州委員会の代表性の改善
2025年5月30日

歴史的視点から、カナダ先住民族と人種化された人々、そして公平に値するグループの人々が直面するBC州での市民参加に対する障壁が見られます。選挙権や選出議員とし活躍する場を制限するといった差別的政策も含まれます。
ブリティッシュコロンビア州委員会・政府機関において、これらのコミュニティー代表者が不足しておりその影響はいまだに感じられます。これらの組織は、州内の人々に奉仕をするという重要な役割を持っています。ブリティッシュコロンビア州公共部門には、警察委員会、保険当局、大学入試委員会等を含む、約230におよぶ組織があります。
役員は、サービス提供や公平な論争解決プロセスへのアクセス等含む日常業務とその管理についての助言と推奨を提供します。任命期間には期限があり、代表役員は任期とともに代わり他の役員などが任命されます。
政府として、様々な観点、実体験、専門知識によってこのような取り組みを実施することが必須となります。ブリティッシュコロンビア州委員会・政府機関の任用官を選ぶ際、州内に住んでいる人々の多様性を反映することが重要となります。この数年間において公平的代表性への大きな変化が見られましたが、さらに今後も継続して改善する必要があります。

調査
2023年、州政府は先住民族と反人種差別データ委員会と協力して、反人種差別データ法のもと、10個の反人種差別の優先調査項目を発表しました。人種多様性とブリティッシュコロンビア州公共サービスにおける公平性の向上に焦点をあてた優先調査項目がその一つです。
行政サービスでの制度的人種差別に取り組むために重要なことは、BC州内の各コミュニティーの代弁となるべく我々の決議によって州民が誘導されることです。役員代表性についての調査はこういった目標への第一歩です。
BC州政府である、クラウン・エージェンシー(政府機関)および理事会リソース管理局(CABRO)は、州政府機関・委員会での人事任命過程を所管。2024年5月、CABROはBC州政府機関・委員会の代表性を理解するため、CABROが監督する役員全員にアンケートを送りました。協会法傘下の組織の理事会員は含まれません。
現職の役員1,677人の中から32%がアンケートに答えました。この見本は、全役員の地域的分布されたもので許容誤差はプラスマイナス3.5%です。
CABROは、前回行った2020年のアンケート結果と比較し代表性に変化が見れるか検討しました。さらにどのグループが過大・過小評価されているかを見るため国勢調査とも比較しました。この手法に制限はありますが、当時では最も信頼できる人口指標でした。
カナダ先住民族、人種化されたコミュニティー、過小評価されたコミュニティーの代表性を改善する機会を得るためにこの情報が役に立ちます。

調査結果
2020年と比較したところ、2024年には以下を含めたプラスな変化が見られた:
- 55歳以上が減少し35歳〜54歳が増え、役員の年齢層に公平性が見られた
- 黒人の役員数が3倍以上増加
- LGBTQ+(性的マイノリティー)と認識する人が1.5倍増加
- 身体障害を報告した役員の割合が2倍以上増加
しかしながら、以下のようなBC州委員会・政府機関一部のグループ層において過小評価が継続して見られる:
- 中国人、またはフィリピン人と特定される人
- 身体障害を伴う人
- 成人や子供の介護人
- 18歳〜34歳の人
- BC州ローワーメインランド・南西地域・トンプソンオカナガン地域に在住する人
カナダ先住民族の特定
カナダ先住民族の役員はBC州人口値と同水準:
- 役員の5.5%強がカナダ先住民族
- 3%強がメティス民族
イヌイット民族の役員数は低く、身元特定保護のため正確な数字は非公開となっています。以下にある人口データとの比較に関してもっと知りたい方はこちらまで。
見本にある他の人と比較したカナダ先住民族の役員:
- 年齢層が35〜54歳間の割合が高い
- 女性の割合が高い
- LGBTQ+*(性的マイノリティー)の割合が高い
- 身体障害を報告した割合が高い
- 成人や18歳以下の子供の介護人の割合が高い
CABROの役員を決める際、以上の要因を配慮すること、またカナダ先住民族の現役員をサポートすることが重要となります。
地方や遠隔地に在住する先住民族は、役員会への参加に対してさらなるバリアに直面し過小評価された可能性があります。今回の調査で地域別による相違点を検討しなかったため、今後の調査に取り入れることを考慮しています。
*「トゥースピリット」という用語は、先住民族の中で特別なアイデンティティーを意味します。CABROはこの「トゥースピリット」であるという認識について、LGBTQ+とは別の項目でアンケート調査し、その結果少数の人が「トゥースピリット」であると認識。身元特定保護のため正確な数字は非公開となっています。


人種
白人層の割合が3分の2、人種化された人の割合が3分の1以下
「分かりません」「お答えしたくありません」等の回答を含んだ12個の選択肢がこのアンケートに使用されました。
人種化されたグループの殆どがBC州人口の認識と一致しており、中国人とフィリピン人の代表性の割合が低い結果となりました。
国勢調査レベルのアンケートにするため、中国人系の役員数は2倍、フィリピン人系の役員数は5倍に増大する必要があります。
見本にある人種化された役員:
- 年齢層が35〜54歳間の割合が高い
- 職場で2つの言語を使用する割合が高い
- 成人や18歳以下の子供の介護人の割合が高い
- BC州ローワーメインランド・南西地域に在住する人の割合が高い
CABROの役員を決める際、以上の要因を配慮すること、また人種化された現役員をサポートすることが重要となります。
国勢調査データを使用する際の注意点
調査チームは国勢調査データを用いてBC州の成人人口の割合と比較し、その結果、多様性に対する見識が得られ、さらに全ての人がCABRO役員に立候補できる資格があると思われます。
実際のところ、これまでの経験・学歴・トレーニング、また仕事に応じて出張旅行ができる、などの条件を考えると資格のある候補者数は少なく、そのため介護人や地方・遠隔地に在住する人々が役員に立候補できない現状です。
インディアン法、先住民族寄宿学校、中国人頭税に見られる、植民地・人種差別政策の長い歴史により人口増加が制限され、さらに先住民族と人種化された人々の複数世代が追放される結果となりました。
これらの政策と実施により、BC州の先住民族と人種化されたコミュニティーの大きさに影響をおよぼし、データ収集プロセスへの信頼に欠けることとなりました。これにより個人やコミュニティーによる国勢調査の不参加が見受けられます。
国勢調査結果による代表性を査定するための比較は必ずしも正しいとは限りません。カナダ統計局のデータ保管方法によると、人種化された一定の人々が一つ以上の人種グループに属すると認識すればその代表性が適切に表されないという事になります。例えば、もしある人が自分を「白人」と「ラテン系アメリカ人」の両方であるとみなすと、「ラテン系アメリカ人」であるとは記録されません。
これにより、先住民族と人種化された人々の数が少なめに見積もることがルーティン化され、もし人口データに基づいて決議されると、行政サービスや補助金へのアクセスの機会に恵まれないという影響が生まれます。2021年、カナダ統計局によりBC州の先住民居留地に在住する人の10%強が国勢調査に含まれていないことが推定されました。
カナダ統計局はデータ収集の改善と被害軽減のための取り組みを継続していきます。

次のステップ
ブリティッシュコロンビア州委員会・政府機関において、役職任命に対するバリアをあるグループに属する人々が感じていることは明らかです。これらの調査結果により、時の経過とともに変わる代表性を理解するべく今後の比較分析に役立つための基準値を見ることができます。この情報をもとにCABROはこれらのバリアを取り除き代表性の向上に取り組むことができます。
CABROは、このアンケートを2年毎に実施します。この調査結果によって、BC州の多様性を我々の委員会・政府機関に反映する手助けをすることができます。さらに、過小評価されたコミュニティーとコラボして様々な障壁への取り組みを実施します。
これらの統計が必ずしも全体像を反映しているわけではないことは分かっています。公平に値するグループからの役員が委員会全体に分散され、どの役割を担いそれに伴うサポートを受けていると感じるかを理解することが重要となります。
CABROは今後の調査において、任用官としての実体験情報を収集し、地域別・役員会レベルで詳細な分析を行う予定です。これにより、今後任用官に応募する人やその役目に就ている人々へのサポートがどの分野で実施できるかを知ることができます。
もっと知りたい
アンケートや委員会役員の詳細な調査結果を含む、このリサーチ・プロジェクトをもっと知りたい方は、全報告書 を読んで下さい。
BC州委員会・政府機関の役員に応募したい方は、こちらのCABROウェブサイトにある、現在募集中の職種と応募のページをご覧下さい。